軸にたどり着く為に捨てた考え方

私がこの軸に辿り着くまでに、捨てた考え方
これは、人を育てる人としての私の話である前に、
一人の選手として、長い時間をかけて考え続た今の私の話です。
マナエルクラブを立ち上げた今、
「どんな育成をしたいのか」「何を大切にしているのか」と聞かれることがあります。
でも正直に言うと、最初から今の軸があったわけではありません。
むしろ私は、
色んなものごと考え方を『手放す』ことで、ようやくこの軸に辿り着きました。
結果が出ていれば、正しいという考え
選手時代の私は、
「勝っている=正しい」
そう信じて疑いませんでした。
勝てている間は、苦しくても我慢できましたし、何よりある程度の期間は気分が良かった。
違和感があっても「結果が出ているから」と納得している自分がいました。
でも、ある時から思うように結果が出なくなった時、
自分の価値を一気に見失った感覚がありました。
昨日まで評価されていたものが、負けた瞬間に意味を失う。
この感覚は、想像以上に選手、むしろ一人の人間として心を不安定にします。
勝敗が大切であることは間違いありません。
でも、結果だけで正しさを測る考え方は、選手や「その人」長く支えてはくれない
そう感じるようになりました。
強くなる選手は、最初から強いという思い込み
もう一つ、私が捨てた考え方があります。
それは、「伸びる選手は最初から目立つ」という思い込みです。
実際には、成長のスピードも形も、本当に人それぞれです。
早く若い時から結果が出る選手もいれば、時間をかけて20代後半〜30代に力を積み上げる選手もいる。
選手としての自分自身を振り返っても、順風満帆だった時期ばかりでは全くありませんでした。
それでも続けてこられたのは、
「今、結果が出ていない=価値がない」
と決めつけなかったからだと思います。
育成に関わる今だからこそ、
目の前の結果だけで可能性を判断することの怖さを強く感じています。
指導者が、全て正しいという立場
選手時代、私は「教えられる側」でした。特にジュニア選手時代。
答えは外にあって、それを受け取るものだと思っていました。
でも、立場が変わり、育成に関わるようになって気づいたことがあります。
指導者が全て答えてあげるなど、前に出過ぎた瞬間、
選手は「考える機会」を失ってしまう、ということです。
もちろん、導くことは必要です。
ただ、正解を与え続けることが、必ずしも選手の力になるわけではありません。
自分で考び、選び、失敗し、修正する。
そのプロセスを奪わないこと。
これも、私が手放した大きな考え方の一つです。
捨てた先に、残った一つの軸
こうしていくつもの考え方を捨てた先に、今の私に残っている軸があります。
それは、
「選手が、自分で考え、選び続けられる状態をつくること」です。
勝つためだけでもなく、評価されるためだけでもなく、
テニスが人生の中で「生きた経験」として残ること。
そのために、今何を選ぶのか。
その判断を、選手自身ができるようになること。
周りにいる大人が伴走者であること。
マナエルクラブが大切にしているのは、
その一点です。
おわりに
この軸も、完成形ではありません。
これからも、選手と向き合う中で揺れることもあると思います。
それでも、考え続けること、問い直し続けること自体を、
私は大切にしていきたいと思っています。
このコラムが皆さん自身の「軸」を考えるきっかけになれば嬉しいです。
鮎川真奈

